りんくすのこそこそ話

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ターミネーターニューフェイト感想 気合の入った新作、しかし所詮は過去の名作

ごめんなさい。今日は映画観てきたのでポケモンお休み。

そして記事の内容は若干ネガティブだし、ネタバレも少しある。

という訳で、今日は映画観てきました。ターミネーター

2が大好きなんですよ。もうね、名作。時代に名を残す名作。

1も観たいなと思いつつ、概要しか知らないです。子供の頃親が観てるの横で観てて怖かった思い出があるので中々手を出せず。

で、まあ今作、もう何度目だろうという2の正統続編を謳った作品。しかし今回はリンダ・ハミルトンのサラ・コナー役への復帰、ジェームズ・キャメロンが遂に製作総指揮を務める! あれ、ジェニシスは? と”気合の入った”新作としてお出しされたわけですが。

 

結論から言ってしまうと、まあ、つまらなくはない。話は面白いっちゃ面白い。映像もアクションも結構凄いなあって思うし。

でもね、もう何度も観てるよそれ。ターミネーターって作品でさ。……アレ?

そんな感じ。

 

目新しさがないんですよね……

冒頭、サラとジョンが未来を守ったという語りから入る訳ですが、その直後、ジョンがスカイネットが送り込んでいた複数のターミネーターの一人に殺されてしまうという、かなり衝撃的な内容から始まり「うおっ?!」と度肝を抜かれました。

これはもしかすると”新しい”ターミネーターが観られるのでは? と期待もしました。

でもそれから展開されるお話はざっくり言ってしまえば、未来の指導者となる人物を殺すためにターミネーターが送り込まれました。それを守るために人類側も助っ人送りました。殺人マシーンを倒して未来を守れ! 

っていう……

 

うん、それで? そういうのもう何度も観たよ?

 

念のため言っておくと僕は、ポリ〇レがなんだ、表現がどうだ、というつもりは毛頭ございません。面白ければ、それに意味があれば全然いいと思います。

今回の主人公はメキシコ系の少女で、相棒は未来人の女性。まあ要するに一作目のサラとカイルを、カイルも女性にしたようなもんですね。

女性同士の友情、絆みたいなのを描くのは別にいいと思う。ただね、これは単に「異性」だった部分を「同性」にして「恋愛」を「友情」に置き換えた”だけ”にしかなってない。

 

ただのか弱い少女がターミネーターとの戦いを経て強く逞しく変革してき、そしていずれは未来の指導者へ……というのが、まあ主人公の辿る道なんですけどね。これもうサラでやったじゃん。それに子供の概念消してジョンの属性付け足しただけでしょ?

相棒の未来人だって、強化改造を施された未来の主人公の部下。めっちゃ強い自立した女性。それが戦いを経て主人公の信頼を得ていき、最後には敵ターミネーターを倒すために自分の身を犠牲にして死ぬ。……カイルと2のT-800足しただけでは?

そう、もう何を取っても過去の焼き直しにしか見えない。

 

様式美っていうのも確かにあるけどさ、でもこれは単にコピーした紙をコピー機に掛けてるだけですよ……ノイズ混じりで劣化してきているのを「これが新しさだ!」って言ってるようなもんですよ……

 

で次。

皆さん、ターミネーターって何? とイメージを尋ねられた時何を思い浮かべます?

 

恐らくは、アーノルド・シュワルツェネッガー氏演じるT-800が思い浮かぶんじゃないでしょうか。

そう、間違いなく彼はターミネーターの顔。

しかしそれこそこのシリーズが抱える最も大きな問題。

 

結局の所ターミネーターといえばアーノルド・シュワルツェネッガー。以上のアイコンを作れてないんですよ……

T-800はマシーンで歳を取らない。なので衰える事が無い。

でも演じるのは人間です。歳を取るし衰える。

 

昔は良かった。なんてあまり好きな言葉ではないんですが、T1、T2のT-800は完璧だったと思います。

無機質で、骨格に皮を張り付けただけの、人間に似せたマシーン。そう見えるんですよ。

演技がまだ未熟だったのもあるでしょうが、どことなく動きが硬く、表情は動かない。

本来役者としてはよろしくないでしょうが”殺人マシーンT-800”を演じる上ではこれ以上ない程、完璧にハマっていた。T-800にアーノルド・シュワルツェネッガーが必要だった。

 

で、今はどう? 白髪になって皺も出来て、歳をとりましたなあというのが一発見て分かる。誰が見たってそう思うんじゃないか。

演技力は間違いなく当時より高くなったと思います。動きが自然だし、表情も柔らかくなった。見ているだけで感情が伝わる感じがあります。

肉体も歳の割には鍛えられているなあとは思います。が、アクションが明らかに動かないものになっている。悲しいが歳は歳。

アーノルド・シュワルツェネッガーという役者はいいと思います。が、それ故にT-800を演じるには不適格。

 

今のT-800、生体樹脂の皮膚なので外見上は加齢する。ジョンを殺したあと家族が出来て人間の心のようなものを得た。だからジョンを殺したことを後悔していて、サラを手助けする……と、なんというか、アーノルド・シュワルツェネッガーが演じるためのT-800になってしまっている。

もう彼にはあの当時のT-800を演じる事は出来ない。というのがはっきり分かります。

 

もはや存在がノイズともいえる。だからと言ってT-800の居ないターミネーターは果たしてターミネーターなの? となってしまう性。

T-800以上の”ターミネーターのアイコン”を作れなかったが故に起きてしまう悲劇。

 

T2では確かに『たとえ機械でも、人の心を””理解すること””は出来る』という結論に持ち込まれました。

でもね、それと『人間の心に近いモノを得た』とは、なんか違うなぁって思っちゃう。

この辺ちょっと難しい話なんで僕に結論は出せませんが。

 

まあ、氏も「これが最後だと思う」とコメントしているそうなので、自覚はあるんじゃないかと思います。

 

凄いな、と思った所もあるんですよ。

先程書いた冒頭シーンの話。

サラとジョンが平和を享受している所に現れるT-800。というシーン、全てT2当時の彼ら”そのもの”だったんです。

 

T4の時、アーノルド・シュワルツェネッガー氏は出演されませんでしたが、別の体格の近いボディビルダーの顔に氏の顔を合成する、という形で、文字通り『現代に蘇った』T-800が出てきました。

これは確か当時、結構話題になったと思います。

 

その後、今やこの技術は様々なハリウッド映画で使われていますね。有名どころで言えばスターウォーズレイア姫。 ※SWシリーズは見た事はないです。知識だけ。

記憶に新しいアベンジャーズエンドゲーム。過去へ飛ぶシーンでアベンジャーズメンバーをその時期に合わせた姿そっくりそのままに。

 

そして今作も同様に、サラ、ジョン、T-800のT2当時そのままの姿が、映像で動きます。すげぇって思いましたよ素直に。

ただこれは技術に対してではなく、『当時の彼らがそのままだ!』という部分に。

だってもう洋画の大作では結構普及してるから。目新しいって事はないですよね。

ターミネーターシリーズの中でも先程言った4以外にジェニシスでだってやってる。

 

それにね、ターミネーター自体、T2でスカイネット誕生を阻止したけど結局それに変わる人工知能が生まれて、結局それは人類滅亡させようと暴走する。って言うのをT3、ジェニシスでやってきた。

 

要は「スカイネットじゃなくても出来のいい人工知能ならなんでもいい」って事です。

 

そして今作はジョンを殺した。見終わったあとになってしまうと「あーあやっちゃった」という気持ちになる。

 

今作の主人公、未来では暴走した人工知能に対する人類の指導者になる。とは先程も記述しました。

てことはですよ。考えてみると要するにそれって「別に人類の指導者もジョン・コナーじゃなくていい」って事になるんですよね。

 

好意100%で無理矢理解釈するなら、たとえどんな絶望の中でも立ち上がる人類は必ず居る。という捉え方もできます。

 

でもね、それってさあT1T2ってなんだったの? ってなるじゃん。

ジョンが特別だった訳じゃなかった。スカイネットだって別に他のモノでもいい。

 

人類がスカイネット誕生阻止しようが、殺人工知能がジョンを殺そうが、どっちも代わりはいくらでも出てくる。終わりのない、いたちごっこ

 

サラを守るために人類軍がわざわざ人を送り込む必要も、殺すためにターミネーター送る必要もぜーんぶなくなっちゃうじゃんね。ターミネーターという作品そのものを否定してるよ。

全部無駄。無駄無駄。

 

もう役者本人が居なくたって似た体格の人に顔を合成出来るし、特別なんて存在しない。『人も機械も、なんでも代わりは利く』ってメッセージを伝えるのなら、よくできた作品だと思いますよ。

 

みんなが好きだった味のガムを、『パワーアップして帰ってきた!』という触れ込みで出してきたけど、食べてみればパッケージが違うだけで味は一緒。

「まあこんなもんかぁ」って諦めながら食べる。そんな感じ。

 

失望はしないけど、諦めたわ。

もうターミネーターに未来はない。延々と過去を繰り返すだけ。色んな所でね。ほんと、なんだったんだろうね、今まで。

 

現在の話を作るんじゃどうしたってそうなる。だって他にやる事ないもの。

もし今後もターミネーターが作るなら、作るべき続編は未来の話でしょう。

もう今までに何度も無かったことにされた作品があるのだから、そういうモノだと割り切って、人類がスカイネットから世界を取り戻すって未来の話を作ったほうがいいんじゃない? そういうIFとしてさ。

 

自分的にはT4は結構いい線いってたと思う。T1T2には及ばないにせよあれはしっかりと意味のある続編だった。

T2の努力を無駄にしたT3の続編らしき要素を含んでいるとは言え、ターミネーターシリーズにおける『未来』という名の『過去』を描き、補完としては適切な部類。

 

愚痴ばっかりになってしまいましたが、ターミネーター1と2のセットは非常に完成されている素晴らしい作品です。

それ以外は原作として名前を使用している外伝として見た方が精神衛生上よろしいと思われます。

こんだけ言ってるけど悪くはないと思ってるんだよ、本当に今作は。

 

そんな、なんか色々を吐き出したかっただけ。

ここまで読んでくれた方、ありがとう。マジで。

 

明日からはまたポケモンやります。